自動運転は商用車から?(11/16)
◆ 各国で実証実験などが進むのが自動運転タクシーだ。実用化に最も近い位置にいるのがWaymoで、2020年10月から一部地域で自動運転タクシーのサービスを開始している。今年の3月にはサンフランシスコで完全無人の自動運転を実現したとする。
◆ タクシーの運賃の多くは人件費である。日本の場合の人件費の割合は7割を超えているので、例えば自動運転車自体の価格が現行車と変わらないと仮定するならば、東京23区内のタクシー初乗り料金(1052mまで)420円が、130円くらいにまで下がる事になる。
◆ メリットは料金の値下げだけではなく、停車タクシーや流しのタクシーによる交通渋滞の解消、燃料の節約による排出ガスの現象もある。自動運転タクシーはスマートフォンアプリなどで呼ぶ事になるので、それまでは所定の駐車場で停車している。
◆ 人間の運転するタクシーは停車中もエンジンをかけて車内空調を行っているが、無人であればその必要はない。駅前などでは客待ちタクシーの渋滞が起きるが、これもなくなる。景気の良い頃は客がタクシーを待ち、景気が悪くなるとタクシーが客を取り合う。
◆ 駅周辺でのタクシー行列を規制しているところも増えてきているが、必ずしもそれが守られているわけではない。昔の新宿西口側の青梅街道など、タクシーが多重駐車して車が通れないほどだったし、銀座も然りだった。タクシーにしてみれば客待ちの時はそこから動く必要がないので、渋滞が起きようが気にしない。
◆ 品川駅周辺もタクシー進入(客待ち)禁止場所が増えてきていたが、すると進入禁止場所からから少し離れた場所にタクシーが列を作る。当然そこは渋滞してしまうので、一般車は迷惑を被る。渋滞なのか多重駐車なのか分からないみたいな止め方のタクシーが、駅の回りには溢れていた。
◆ 自動運転タクシーが法を守るアルゴリズムであれば、こうしたタクシー渋滞は解消される。無人タクシーの待機所という駐車スペースが必要になるので、再びコインパーキングバブルがやってくるかも知れない。
◆ タクシーの場合は可働範囲を限定する事が出来るので、一般の自動車よりも自動運転が実現しやすい事がある。例えばこのタクシーは新宿区からは出られません的な制御で、出発点と到着点のいずれもが規定の範囲内の客だけを迎えに行く。
◆ 決まったルートを走るという点では高速道路を使ったバスやトラックもある。ただバスやトラックは、ドライバー1人あたりの荷物や乗客数が多いので、人件費の割合が低くなる。
◆ 輸送コストの面で良く言われるのは鉄道と陸送のどちらが得かだ。鉄道の方が距離辺りのコストは安くなるが、駅までしか運べないのでその後の輸送にコストがかかる。駅で荷物が下ろされれば保管料がかかるので、早く取りに行かなければいけない。
◆ こうした事情から、単価としては500km以上の距離であれば鉄道輸送が得にはなるものの、実際に使われる例を見ると輸送距離1,000kmが一つの目安だとか。トラック輸送にしても高速道路だけの自動運転では鉄道輸送の不便さと変わらなくなり、末端までのサービスが必要だ。
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