アンテナ(7/28)
◆ 昔、いや昔昔々くらい前はメーカ製の高ゲインアンテナは余りなかった。144MHzとか430MHz以上の周波数で高いゲインを求めれば、八木アンテナを自作するのが普通だった。今は25エレメントとか27エレメントの八木アンテナが売られていて、カタログゲインは19dBiくらいある。
◆ スタックのキットも売られていて、同じアンテナを2つ並べると3dBゲインが上がるとなっている。まあ理屈の上では3dBゲインが上がる(ダイポールアレイなどではそれ以上)が、実際にはなかなか難しい。
◆ 50Ωのアンテナを2つ並列接続するのだから、インピーダンスは25Ωになる。そこで並列接続した時に50Ωになるように、アンテナのインピーダンスが100Ωに見えるような仕組みを考える。アンテナは50Ωなのだが、そこにλ/4波長の奇数倍の70Ωの同軸ケーブルを付ける。するとアンテナと反対側が100Ωに見えるので、これを2つ並列にすれば50Ωに整合させることが出来る。
◆ しかし70Ωの同軸ケーブルは一般的ではないので、多少の不整合を我慢して75Ωの同軸を使うとか、金属パイプで70Ωの同軸線路を作ってしまうなどするのかも。もちろん分布定数ではなく集中定数で作ることも出来るが、いずれにしても損失が発生する。
◆ Qマッチは様々な方法というかインピーダンスの変換が出来るので、例えば50Ωのまま2並列にして25Ωになった所に50Ωのλ/4波長の同軸と、その先に更に70Ωの同軸を使っても良い。50Ωのλ/4端のインピーダンスは100Ωになり、70Ωのλ/4の2段目のQマッチで50Ωに整合させる。
◆ アンテナが50Ωなら良いが、50ΩでなければQマッチの計算は狂う。アンテナをスタックにする場合はアンテナ同士の干渉などによってインピーダンスも変化するので、そうした問題や整合損失を考えると3dBアップはどう考えても不可能だ。しかしアンテナメーカのカタログには、アンテナ本数を2倍にするごとに3dBずつゲインが上がっていくと書かれている。
◆ 市販のアンテナがない頃は、多エレメントの八木を何本もスタックにするのは大変だったが、今はスタックキットも売られている。実際にそうした、EME(月面反射通信)も出来そうな高ゲインのアンテナを使っている人もいる。金さえ出せばと言うことでもないが、27エレメントの八木アンテナを4列にしてそれを2段にするという素晴らしいアンテナも80万円くらいで設置出来る。
◆ 金さえ出せばの話で、SHF帯のトランシーバを市販してくれるなと言う話もあるそうだ。技術のあるアマチュア無線局のみが電波を出せるSHF帯も、市販のトランシーバが販売されれば誰にでも使えてしまう。しかしこれ、昔から言われていることであり、例えば10GHz帯の無線機が市販されたなら、私は75GHzに行きますよで良いのではないだろうか。
◆ 特に昨今は自作無線機で免許を貰うのが色々と大変だ。強制規格を満足させなければいけないので、精度も確度もよく分からない中古の測定器で測りましたではダメなことは分かる。送信機の特性を測定してくれる所もあるが、手間もかかればお金もかかる。それに特性を測った後に設定を変更したら、それは厳密に強制規格を満足しなくなっているかも知れない。その意味では自作無線機で免許を受けたという、そのことだけでも一つのハードルをクリアして無線局な訳だ。
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