ラーメン屋の苦悩(4/5)
◆ 出先の食事などでラーメンを食べることもある。個人店も何軒かあったのだが、廃業してしまった店もある。原材料価格やエネルギコストの上昇はラーメン店にも打撃を与える。2023年はラーメン店の倒産が過去最高だったそうで、外食産業の復活という人流に反して、売っても儲からない状況が経営の苦しさとなった。
◆ ホリエモン氏のラーメン1万円論ではないが、適正価格のイメージが千円を超えられないと言われる。最近はそれでも値上げされているラーメンだが、700円なら売れるが千円にすると客足が止まるという。
◆ 個人店の経営が苦しくなるもう一つは、チェーン店の存在だ。大量仕入れと効率的経営という点において、個人店はチェーン店に太刀打ちが出来ない。以前は味で勝負という面が多々あったのだが、人気のラーメン店が出来ればその味はすぐに真似されてしまうとも言われ、確かにチェーン店でも○○フェアみたいな形で通常とは違ったスープ・味のラーメンを限定販売したりしている。
◆ こってり系のラーメンを食べたければ○○チェーン店で、昔ながらの鶏ガラスープの味が欲しい時にはこちらのチェーン店、みたいな食べ分けも出来る。チェーン店のラーメンもおおむね千円以下になっているが、ラーメンを食べるだけの人は少ないと言われ、客単価の平均は1,500円弱だとか。
◆ 静岡県を中心に展開する五味八珍のランチメニューは、ラーメンと餃子と半ライスが付いて千円以下である。これは結構お得な感じがして、同じチェーン店でも"京都北白川 ラーメン魁力屋"だとラーメン単品で千円前後だ。京風ラーメンという事もありあっさりというか薄味系で、関東人には物足りないかも知れない。
◆ 横浜にいた時には王将のラーメンもたまに食べた。まあ味は価格なりではあるが、当時は5百円ちょっと(現在は649円)と安価である。味も価格も様々なチェーン店で選び放題となると、個人店を維持していくのは大変だ。パンがブームになればスーパーの中にパンコーナーが出来て、個人店の半額で売られる。
◆ ケーキが売れればコンビニスイーツに力が入れられ、人気のケーキが買える。ケーキ店でも多店舗展開しているところが多く、ネームバリューだとか安定した品質や価格にメリットがある。
◆ ラーメン店のコストダウンに効くのが、今はエネルギコストの節約だ。ラーメン店ばかりではなく飲食店が(都市部に於いても)プロパンガス化を行うのはそのためで、大口需要ではプロパンガスの方がかなり安くなる。ガス燃料電池の導入でガス料金のキャップ制を設けている(設けていた?)所もあるそうで、湯と電気もプロパンガスから作り、設備費用もプロパンガス会社が負担する(今は禁止されたのかな)方法で、ガス会社は囲い込みが出来て店舗側はエネルギコストが節約出来た。
◆ しかし個人店となると設備の入れ替えコストやその期間が問題となり、そこまでするなら店をたたんだ方が良いと考える人が多い。例えば券売機一つにしても、アレは結構高額なのだ。多くの客からの注文を効率的に処理するには発券機だったり、注文システムの設備が必要になるが、イニシャルコストを考えると中々難しい。
◆ 庶民の味とも言えるラーメン店の減少は寂しいものがあるが、大資本に飲み込まれていくというのはラーメン店だけではなく全ての個人店に言えることだ。電気店や設備屋さんなども大手だとかディストリビュータから仕事を貰って、生かさず殺さず的な料金で仕事をせざるを得ない現状がある。
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