ホームアンテナの中身


PHS端末を買ったらホームアンテナが付いているという時代,PHS事業者も加入者獲得のためには何でもやると言う感じ。
最近の端末は小型化が進んで、中身を見ても余り面白くない。
そこで、比較的寸法に余裕のあるホームアンテナをバラしてみた。
そもそもホームアンテナって何だ?これは、CSと端末の間のリピータのような物,CSの電波を一度受信し、周へ数の違うチャネルで送信するのだ。
では無線機が2台入っているかというとそんなことはない。
受信スロットと送信スロットは時間的に離れているから、一台の無線機の周波数を切り替えながら使用することになる。
スロットの概念はこちらに書いてあるのでご参考に。
ホームアンテナの中身は、液晶などの制御部分とPHS部分の2枚基板の構成だ。
液晶制御や電源関係は面白くないので、PHS部分を解説しよう。

これがその基板,右側が無線部で左側がロジックになる。
J101とシルクの入っているところがアンテナコネクタだ。
FL101はアンテナフィルタでバンドパス特性を有する。
MGF7135Pは(詳しくは調べていないが)送信部のPAとSPDTスイッチ(送受切り替えスイッチ),LNA(受信部の低雑音高周波増幅回路)がワンチップになっている物と想像できる。
受信信号の流れを見ると、MGF7135Pで増幅された後、緑色の部品2個がある周辺のミキサ(バイポーラ)で周波数変換される。
PHSの周波数が1.9GHz帯で、第一IFが243.95MHzだから、1stローカルは1.6GHz帯になる。
周波数変換された後SAWフィルタ(FL031)に入り、その後TA31165FNへ接続されている。
FN31165FNは2ndミキサとIFアンプ等の部分だ。
ちなみにFL061は10.8MHzのIF(公称ルートナイキスト)フィルタだ。
ココからの出力はたぶん10.8MHzだろう(1.2MHzかも知れないが)その出力はQPSKモデムへ接続されているはずだ。
(IX2613AFに集積されているはず)送信部の信号の流れはどうなっているか?TA31165FNは受信IF回路と送信変調回路が集積されていると見られる。
モデムから出たI/Qのベースバンド信号は、送信IF周波数(たぶん254233.15MHz)で変調され、送信IFが出来上がる。
同時に1.6GHz帯とも混合されて、PHSの1.9GHz帯にまでこのICの中で生成されると見た。
1.9GHz帯になった信号は、NFFL141でフィルタリングされ、プリ増幅回路のIC141に入る。
そしてもう一段,Q142で増幅された後、MGF7135Pでスロット内平均出力である80mW(時間平均出力10mW)になるというわけだ。

これが基板の反対側。
右側が無線部になるが、一番大きな部品がTCXO(19.2MHz)だ。
IC201はPLLだろう。
その上のD201周辺が2nd局発,周波数が低いのでディスクリートで組まれている。
1668A4と書かれた部品が1st局発,その他のトランジスタなどは局発のバッファやAPC回路などではないだろうか?ロジック部はワンチップのPHS制御ICとCPUらしきもの,ID等を書き込むEEP-ROMとフラッシュROM(かな)で構成されスッキリしている。
これをNTTpは3千円ちょっとで売っているそうだ。
(単体購入した場合)製造メーカはシャープだが、これが3千円で売れるほど安いとは思えない。
シャープの社員はこれを買って、再度売れば儲かること間違いなし,と、見たが...