Panasonic Lumix FX7(2)
ファーストインプレッションはこちらをご覧頂くとして、その後使用した感想などを書いてみようと思う。
まず以前も書いたとおりフォーカシングの遅さは常に不満に感じる点だ。
起動時間が早い※のは結構なのだが、起動はその時一回だけなのに対してフォーカシングは毎回だから気になる。
※電源を入れてから液晶画面にCCDから取り込んだ画像が表示されるまでは一瞬だが、操作可能になるまでには2〜3秒を要する。
雑誌のレビューなどを見るとフォーカシングはさほど遅いと感じないなどと書かれている所を見ると、これより更に遅い機種があると言う事だろうか。
もう一つは電池の持ちである。
Optio S4iと同様の使い方をしていても、Lumixの方が確実に電池の減りは早い。
これは大型液晶のバックライトが効いているのだろう。
同じく2.5インチ液晶を搭載するSONYのDSC-T11もバッテリの減りはかなり早いという。
幸いにしてOptio S4i用の電池がそのまま使えるので、Optio S4i用として買っておいた予備電池(結局一回も使わずに済んだ)はLumix用として活躍する事になる。
回転ダイアル式のモードセレクタは使い勝手が良いが、耐久性は大丈夫なのかなと思わせる安っぽい感触がそこにある。
どうもNikon CoolPix950の電源スイッチ(回転式セレクタを兼ねる)の故障が頭をよぎるのだ。
これがEOS程度シッカリしていれば不安は少ないのだが、そこまで金はかけられないのだろう。
回転ダイアル式の操作性はPENTAXも認めたようで、OptioSVは回転ダイアル式になっている。
コイツもスライディングレンズシステム搭載で、Lumi
の最厚部と余り変わらぬ厚みの中に5倍ズームを詰め込んだ凄いヤツだ。
ま、実際に見てみるとずいぶん厚みを感じる訳だし質量165gは小型軽量とは言い難いのも事実なのだが、スライディングレンズシステムの弱点は余り見られないような感じ。
実際に撮ってみたわけではないので断定は出来ないが、メディアのレビューを見る限りはマトモな写りをしていた。
IXY DIGITAL も小型でそこそこ評判が良いようだ。
ただし軽量なのは50までで、5メガピクセルの500はずいぶん大きく重くなってしまっている。
しかしこれは500万画素を活かすためにはこの程度の重さ(の、レンズ)が必要なのだよと主張しているのかも知れない。
いくら撮像素子の画素数が多くても、レンズがプアだったら携帯電話内蔵カメラ並みの絵しか撮れない。
色々不満はあるのだが、手ぶれ補正は絶大な威力を誇っていると言って間違いない。
勿論過信は禁物で、何でもかんでもカメラが補正してくれると言ったら大間違いなのだが、慎重に写したつもりでも失敗してしまうという部分をカバーしてくれる有り難さがある。
メーカによれば3絞り分以上の効果があると言う事だから、例えば1/16秒のシャッタ速度の場合は手ぶれ補正によって1/60秒程度のシャッタ速度で撮影した時に匹敵する位に手ぶれが押さえられるという事だ。
そこで実際に手持ちでどのくらいまで撮れるものか実験してみる事にする。
部屋を暗くして細かな字の書かれた本を撮影する。
部屋の明るさを変えながら何度か写してみると、シャッタ速度1/8程度ならブレは非常に少ない事が解る。
(広角端)同じ条件で手ぶれ補正をOFFにすると、それこそ息を止めて写したつもりでも原寸画像を見ると明らかにブレているのだ。
実際に夜景を写してみた。
同時にノイズのチェックも出来るように感度を変えて同じ場所で撮ってみる。
【ISO80】
【ISO400】
クリックで無加工画像が見られるのでノイズの様子を見て頂きたい。
なお手持ちで撮影しているので、ISO80で写した方が盛大に手ぶれが発生している(シャッタ時間3.2秒)がご勘弁を。
なおオートモードで撮るとこんな感じだ。
感度は最大(オートモードの最大はISO200)まで上がっているはず。
小型CCDの宿命か、ダイナミックレンジが広いとは言えない。
携帯電話内蔵カメラほど酷くないのは当然だが、ちょっと前の200万画素級デジカメに負ける場合があるかもと言うのが印象である。
大型撮像素子を使った一眼レフタイプと画素数こそ似たようなものだが、ディテールの写り方はずいぶん違ってくるという事だ。
この点はメーカでも解っているのか、或いはAE性能が余り高くないのか、モニタ上にリアルタイムでヒストグラムを映し出す事が出来る。
これによって飽和状態を見ながら露出補正をかけなさいと言う事なのだろうか。
撮影後に撮影した写真を見られるのは当然なのだが、その拡大画像が見られる所は親切である。
ピントの具合など狭い液晶モニタでは解らなかった部分が確認出来るからだ。
もっともこうした使い方をしていると電池はどんどん減っていく。
小型CCD=低感度=高ノイズなわけだが、これはご自慢のヴィーナスエンジンII搭載によっても完全には防ぐ事が出来ない。
おそらくノイズ低減効果は発揮されているのではないかと思うのだが、室内撮影程度の明るさだと(自動モードであれば)最大ISO400まで増感されるのでそれはもうノイズまみれみたいな絵になってしまう。
おそらくこれはEOS KissDをISO1600まで上げた時よりもノイジーなのではないか。
やはり500万画素の1/2.5インチCCDというのは無理があるのだろう。
同じ1/2.5インチでもOptio S4iは400万画素だったので低感度設定時のノイズの面では有利だったのかも知れない。
各社共に最近は、このヴィーナスエンジンのような専用の画像処理エンジンを乗せている。
例えばレンズの影響で周辺部が暗くなったりフォーカスが甘くなる所を、これらの処理エンジンは部分的に輝度をコントロールしたりエッジ強調を行ったりして助けている?訳だ。
また一点から光が差し込むような絵を撮った場合に、その部分のみ飽和してしまうのを防ぐ(ように見せかける。
実際に飽和は防げない)事も行う。
もちろんこんなのは正当じゃないと思う方もおられるだろうが、これはもうオーディオ論と一緒で、何が原音なのか、何がいい音なのか、何が写真で、見せる写真はどうあるべきなのかと、果てしない議論になってしまいそうだ。
これにしても撮像素子や記録データが充分なダイナミックレンジを持っていれば後処理でどうにでも出来る訳だが、そもそもjpegに圧縮された時点で終わっているのだからそれより前に処理しましょうというのがエンジンの役割か。
いや、もしかしたら撮像素子の不良ドットを良ドットに見せかける事位やっているかも。
500万画素の中で1画素の不良率と言ったら0.2ppmであり、これは結構な数値である。
逆に例えその1ドットが欠けていたとしても、周りの情報から補完すればたぶん問題にはならないというか、発覚すらしないだろう。
これがスターセンサ(衛星の位置制御などに使用される、周りの星の位置から自位置を求める為のカメラ)だったらすぐにバレてしまうのだろうが、数百万ドットに均一な市松模様を映し出すなんて事自体が不可能なのだから絶対ばれない。
例えば0.1ppm不良率のCCDが3万円で1ppm不良率のCCDが5千円だったら、デジカメメーカは5千円円のCC
を3万円のそれに見せかけるために努力するに違いない。
液晶の不良ドットは補正のしようがないが、CCDの不良なら電気でカバー出来る。
実売価格3万円以下をエントリーモデルと言うとすると、この4〜5万円の価格帯が中心になるのだろうか。
10万円前後となると高倍率ズームや800万画素という撮像素子付きのデジカメが手に入り、一眼レフデジカメにもそろそろ手が届く。
例えばNiconのCOOLPIX8400は2/3インチ(8.8mm×6.6mm)
の800万画素CCD搭載で8万円程度。
*ist DSは23.5×15.7mmの600万画素CCD搭載の小型一眼レフで10万円くらいだ。
ちなみにEOS KissDのC-MOSセンササイズは22.7×15.1m
である。
CCDこそ1/2.5インチとコンパクトデジカメ並みだが12倍ズーム搭載で話題になったDMC-FZ20は実売価格5万円程度で、ちょっとお買い得感があったり。
ただこのクラス(価格ではなくて大きさや重さ)を買うのであれば、やはり大型CCD搭載機の方が後々後悔しないで済むとは思う。
CCDのサイズとダイナミックレンジの関係は一概には言えないのだが、おそらく500万画素で1/2.5インチサイズの場合は55dBに達しない(9Bit分解能程度)のではないだろうか。
大型撮像素子を使用した一眼レフタイプなどでは12Bi
近いダイナミックレンジを実現しているものもあるようなので、その差は歴然だ。