知って得するPHS用語集
知ったかぶりを決め込むために必要なのが専門用語だ。
ここでは、その代表的モノを紹介しよう。
1.CRC(Cyclic Redundancy Check)
エラー検出に用いられるチェックビットの方式。
「この場所は、電界強度は強いけど、通話品質が悪いね、CRCエラーが多いのかな」ってな具合で使う。
2.CS(Cell Station)
基地局を表す。
家庭用の場合は親機のこと。
なおPDCの世界ではBSと言う。
「この辺はCSが少ないからすぐ圏外になるね」
3.MM(Mobility Management)
移動管理,位置登録及び認証等の機能を行うレイヤを表す。
「CSは有るのに、圏外になるのはMMに失敗してるのかな」
4.BCCH(Broadcast Control Channel)
報知チャネル,制御チャネルで基地局から移動局に対して制御情報を報知するチャネル「A社の端末はBCCHをちゃんと受信してないんじゃないの?発呼失敗が多いよ」
5.TCH(Traffic Channel)
音声等のユーザデータを電送するためのチャネル「TCHだけ受信すれば、通話は聞けるよね」
6.PS(Personal Station)
7.発呼(はっこ)
電話をかけること「こっちから発呼するから、待機しててね」
8.着呼(ちゃっこ)
電話がかかってくること「さっき電話かけなかった?着呼に失敗してすぐ切れちゃったよ」
9.ハンドオーバ
CS間を移動した際に、チャネルを切り替えて通話を維持するための手法「車で使ってたらハンドオーバに失敗して切れちゃった」
10.VOX(Voice Operation Transmission)
ぼっくす,音声の有無に応じて送信出力をON/OFFする機能「この端末はVOXが付いてないから、電池消耗が激しい」
11.ダイバシティ
(一般に)受信系統を複数台使用して、電波状態の良い方の受信系統を使用する方式公衆CSにアンテナが2本付いているのはこのため。
端末でもPDCはダイバシティを行っている。
「C社の端末は、生意気にアンテナダイバシティ付きだゼ」
12.加入者データ
端末購入の際にPSに登録される個別情報の総称「このPSあげるけど、加入者データ消して有るからそのままでは使えないよ」
13.位置登録
自分のいる位置(エリア)を交換局に登録する動作。
この動作があるからこそ日本全国にあるCSから、あなたのPSが呼び出されるのだ。
位置登録は、BCCHを元にしてPS主体で行われる。
すなわち、自分のいる位置でもっとも受信状態の良いCSのBCCHを受信し、その情報が以前記憶していた情報と異なるとき位置等録動作を行う。
位置登録は、認証シーケンスが入るから不正なIDでは出来ない。
「今日は移動してて、位置登録が多かったから電池がもう無いよ」
14.認証
位置登録や発着呼の際に行われる動作。
PS IDやPS 番号(登録電話番号)をCS側交換局でチェックされる。
このシーケンスには独自の暗号化がなされている。
「料金払わなかったら認証に失敗して使えなくなったよ」
15.圏外
たとえ電波がとどいていても、位置登録できなければ圏外となる。
従って、送信部の壊れている端末はCSの近くに持っていっても圏外のままと言うこともあり得るわけだ。
16.話中(わちゅう)
「はなしちゅう」とは読まない。
これに関連して、よく使われる電話用略語を少々。
BT:ビジートーン,ツーツー...ってヤツだ。
相手が話中でなくても回線Busyの可能性もある。
DT:ダイアリングトーン,ツー..ってヤツ。
ダイアルを促すもの。
17.発呼保留(はっこほりゅう)
位置登録が現時点で出来ていないが、直前まで位置登録完了状態であった場合に発呼動作が行われると、通常なら圏外=BT送出,となる。
それではあんまりだ..って訳で位置登録できるものとして発呼を受付か、位置登録してから発呼動作に移る処理。
全ての端末がこの機能を実装しているとは限らない。
18.切戻り(きりもどり)
ハンドオーバで、切り替え先CSの全てのスロットが使用不能か電界強度が規定レベル以下で、ハンドオーバに失敗し元のCSの制御下に戻ってくること。
「さっき車で使っていたら、切り戻りに失敗して切れちゃったね」
19.吹く(ふく)
正式用語ではないが、CSが制御チャネルでスーパフレームを送信していることを「制御信号を吹く」などと表現する。
20.スーパフレーム
制御チャネルで送信される信号(BCCH)の総称。
BCHやPCH等で構成されるが、中身を詳しく書いても読むのが面倒なだけだろう..ちなみに、通常待ち受け中はPCHを受信している。
PCHは自局(PS)への着信信号が乗ってくるからだ。
21.1C3T
詳しくは、技術解説の方をご覧いただきたいが、制御チャネル1スロット+通信用3スロットの意味。
通常のCSはこの構成だ。
「地下街に有るDDIのCSは、4T構成かも知れないね」
22.第一レベル/第二レベル
受信電界強度を表す言葉。
第一レベルは26dBμ,第二レベルは40dBμである。
チャネル指定を行うとき、そのチャネルが使用可能かどうか(空いているか)を確認する際,最初は第一レベル以下のチャネルを探す。
すべての使用可能チャネルの電界強度が第一レベルを超えていた場合に限って、第二レベル以下のチャネルを使用して良い決まりになっている。
すべてのチャネルが第二レベル以上の場合はチャネルビジーとなる。
23.規格感度
いわゆる受信感度のことだが、これの規格。
すなわち、ビット誤り率(BER)が10のマイナス2乗になる受信入力電界強度を言う。
規格では16dBμ以下である。
つまり、感度の高い方向には無制限だ。
ただし、感度を上げようとすると相互変調特性やら隣接チャネル妨害特性が悪くなるのは避けられないから、これらをすべて基準値内に納めるように設計する。
24.干渉回避
1.2秒間(240スロットにあたる)に何スロットのエラースロットが含まれているかを常時監視しその値がCSから通知される、しきい値以上の場合にチャネル切り替え動作や送信停止動作を行う。