コラム:肥料と成分
水草用の肥料(肥料という呼び方はせず、生長促進剤などと書いてある)は成分表示がない。 肥料という名称を使えば成分表示が義務づけられるので、現在市販されている水草用の生長促進剤は「肥料」と表示することが出来ないのだ。 (高く売れなくなってしまう)一方園芸用の肥料は成分表示もなされた、由緒正しき?肥料である。 水草用と何が違うのかと言えば、微量元素と呼ばれるものの含有率とか精々その程度だろう。 水草用生長促進剤の殆どは家庭園芸肥料メーカで作られていると言われており、成分も似たり寄ったりだろう。 が、値段には10倍以上の開きがある。 水草水槽を長く維持している方は(値段と成分表示のメリットから)園芸用肥料を使っている方が多い。 肥料の成分は窒素/リン酸/カリウムで、水槽内では窒素は豊富にある。 そこで窒素含有率がゼロの「ハイポネックス開花用」が水草肥料としてピッタリだ。 ではリン酸やカリウムだけ補充して、(仮に)窒素が非常に少ない場合を考えると、これではリン酸もカリウムも水草に吸収されない。 (吸収量は3大栄養素の、最も少ない分量に合う)全てのバランスが整ってこそ有効に吸収されるわけで、残った成分はコケの餌になるだけだ。 換水量が多い場合は窒素分も余り多くはならないだろう。 従ってこういう場合には窒素もある程度含まれた肥料が良いと言うことになる。 (ただし使い方を誤るとコケの大発生だ)若干量の窒素を含み、リン酸とカリを主成分に微量元素と言われる鉄などを配合した水草生長促進剤にジャレコのフロラシオン・プロがある。 もちろんこんな高い物を買わなくても、園芸用肥料には各成分の配合率が明示されているので、これらを混ぜて使えばいい話ではある。 鉄(二価鉄)なら「メネデール」で代用できる。 ここで注意しなければいけないのは、鉄分が水草に吸収される前に酸化鉄(つまり赤錆び)となって底床中やフィルタ内に溜まってしまうと言うことだ。 多かれ少なかれこの問題は起きるらしいので、過剰添加は意味がないと思う。 私は現在ADAのグリーンブライティStep2とフロラシオン・プロ(窒素も含んでいるらしい)を使っているが、Step2は窒素もリン酸もカリウムも含まれていない。 (微量元素のみ)従ってこれを添加しても富栄養化が起きる心配は少ない。 しかし窒素/リン/カリの無い状態では微量元素だけがあっても水草は生長できない。 これに魚が排出する窒素とリン,そしてカリが(例えばハイポネックス開花用で)加われば良いというわけだ。 肥料不足の状態になると葉の白化が見られるようになる。 或いは新芽がまっすぐ生長しないで縮れたようになったり、有茎類では茎が細くなったり茎が溶けたりする。 逆に窒素/リン酸過多になると固い緑のコケが一気に増える。 ちなみに窒素含有量を下げようとすると肥料としての効果が上がらなくなる方向になるそうだ。 その為ハイポネックス開花用は「特殊」なものとして分類できるかも知れない。 園芸肥料を使う際にはアンモニアや尿素成分が含まれていない方が望ましい。 これらは生体に悪影響を与える可能性がある。 水交換を頻繁に行いコケ(藻類)の発生を防ぐのは有効な手段だ。 この場合には窒素やリン酸濃度も低くなるので、ハイポネックス「ラン用」や「野菜用」など、総合肥料を添加した方が良い。 ハイポネックスシリーズは3大栄養素の分量が明記されている上、様々な配合のものが選べるので便利である。 なおADAのStep1〜3と同じように微量元素のみを配合したもの(ハイポネックスのシリーズ)もある。 これらは実売価格で300円程度(小さな容器)であり、500cc入りでも700円ほどだ。 一方ADAのStep2もフロラシオン・プロも2000円以上はするし、成分表示がないのが不満である。 なおテトラの液体肥料は国内販売品は成分表示がないが、並行輸入物は成分が表示されているとのことだ。 これが水草先進国?とマーケット至上主義国の違いか? |