熱帯魚を飼う(69)
■ '00/6/18
サンプ槽に入れっぱなしになっていた硝酸塩吸着剤を取りだした。
これの効果は良くわかっていなくて、硝酸塩濃度が目に見えて下がったわけでもないし何事も起こらなかったという感じ。
たぶん微量の硝酸塩を吸着するようなもので数十ppmもあるような所に入れても無意味なのだろう。
で、結局効果が分からないまま入れっぱなしになっていたのだが、硝酸塩も試薬に反応するレベルまで上がっていないし、吸着剤は多孔質の濾材みたいなものなので出してしまったというわけだ。
サンプ槽の底面にはゴミが沢山溜まっている。
いつかは吸い出して掃除しようと思っているがやっていない。
次回の水交換は7月の下旬くらいに行おうかと思う(20リットル程度の海水を足すことはそれ以前にもあるだろう)ので、その時にでもポンプでくみ出すか。
イサザアミ水槽を閉鎖した。
この水槽はチビが学校で捕まえてきたヤゴ水槽になった。
ヤゴには冷凍餌やブラインシュリンプを与えてだいぶ成長している。
ミドリイシはどれもポリプを出している。
茶色になってショップに置かれていたものも随分状態が良くなってきた。
日陰になっている部分も徐々に緑に変化している。
最初から深緑だったテーブル状のものも水流が少ないためか上方に枝を伸ばしてきた。
ミドリイシ類の状態改善にはストロンチウムが効いている感じがする。
一般にカルシウム濃度は気にする人が多いがストロンチウム濃度には無関心なのではなかろうか。
もう一つはマグネシウム。
試薬の説明によるとマグネシウム濃度が低いとカルシウムの(生体への)吸収が阻害されるらしい。
だから(試薬メーカの出している)マグネシウム添加剤を使えと書いてある。
(笑)通販で買った(販売店曰く)スーパーブルーは今ひとつ調子が良くない。
と言うか、徐々に良くなってきてはいるが本調子でないと見るべきだろう。
■ '00/6/19
硝酸塩吸着剤を取りだしたためでも無かろうが、NO3が1ppm位(試薬の色がちょっと変わる)になっていた。
NO2は0.1ppm以下でPO4は0.01ppm以下。
Mgは1125ppmと出た。
コラリスを通販店に注文していたのだが、国内在庫がないと言うことでキャンセルした。
アラゴナイトのカルシウムメディアってのもあって、The only aragonite reactor media. A complete reactor media containing
not only calcium and carbonate, but essential trace elements as well. In
fact A.R.M. has nearly 50 times the strontium of other brands (7,390 ppm).
A.R.M. is processed for immediate use, no rinsing required, and has double
the surface area of regular aragonite. Precision grading (2-3mm) allows
for maximum carbon dioxide penetration, and the exclusion of gastropod
shells insures the lowest phosphate and silica (about 1/2 that of other
brands) content. This grading also carries in the highest concentration
of Halimeda incrassata, an aragonite so pure it has been used as a laboratory
standard. A.R.M. has the highest solubility of any reactor media available
(metastable at 8.2) so CO2 consumption is much lower. A.R.M., its what
your corals are made of
だそうだ。
ストロンチウムはTECH・Iで足りているのでどうでも良いが、高めのpHで溶出が進むと言うことは炭酸ガスの節約にもなる。
でも国内で扱っているところはないだろうな。
普通のアラゴナイト石?でも良いけど。
一時期入れるそばから死んでいったハゼ類だが、オトメハゼはミズタマハゼに追い回されながらも元気にしている。
一体あの死亡事件は何だったのか。
ミズタマハゼはスポイトを水槽内に入れると攻撃してくる。
いや、攻撃ではなくて餌だと思ってるのかな。
とにかく強烈にアタックしてくるので恐ろしい。
■ '00/6/20
海外に注文した添加剤が届いてしまった。
どうやら船便は扱えないらしい。
いや、「船便は使えるのか?」と書いた分が解読できなかったか?(笑)
2リットル入りのボトル10本、20KgをAirで送ってもらって$131だから良いか。
予想だと$200を超えると思っていたのだが、少しは安かった。
品物代は$240である。
平均すると1000cc辺り$12でしかない。
送料を入れても$19以下なので日本で買うのが馬鹿らしくなっちゃう。
実際、これらが船便で来ることを予想して同じもの(ただし容量は250cc or
470cc)を国内ショップに注文していて、それが明日辺りに届くと思うのだが金額は1万円を超える。
それも一番安いショップに頼んで、なのだ。
が、一番右の品物「Concentrated Iodine」は向こうの送り間違いみたいだ。
私が欲しかったのはTECI・Iなのである。
これは又交渉しなくては。
しかし16日に頼んで20日に届くのだから国内通販(価格が安い商品非在庫ショップ)より早い位だ。
今日はAragamax(アラゴナイトのカルシウム剤)を注文した。
約3.6Kg入りで$17である。
これだと間違いなく商品代より送料の方が高い。
ので、ついでにドジングポンプも1台頼んだ。
上の5種類の自動添加を行うには後1台のポンプが必要なのである。
■ '00/6/21
チンチロフサゴカイを発見した。
最初に発見したライブロックから触手を出しているところを見つけたのだ。
このライブロックは水槽内で最も大きなヤツであり、取りだして淡水をかければ水質悪化は必至だろうな。
かと言って放置すれば増殖する可能性がある。
水をかけるにしても広範囲にかけないとライブロックの奥深くに逃げ込んでしまうので厄介なのだ。
このライブロックには色々な無脊椎が生えてきている。
これらにダメージを与えるのは忍びないが、触手に毒を持つと言われるチンチロフサゴカイを放置するのもシャクだ。
で、結局ライブロックを取りだして部分的に水道水をかけた。
部分的と言っても全体の面積の3割にもなろうか。
チンチロフサゴカイの本体である、ナメクジ的ものが見つからなかったので数回に分けて1分間ずつ水をかけた。
この作業に要した時間はおよそ90分、水槽をかき回してしまったので魚も無脊椎も迷惑したことだろう。
水質悪化に備えてスキマーはフルパワー(60Hz)運転にした。
この状態でエア流量を測ってみると、約3.5リットル/分だったが流量計自体が抵抗になっている様子なので測定値は正確ではない。
(流量計を接続すると泡位置が下がってしまう)
現在も使用しているSeaTest比重計だが、製品間のバラツキが大きいのではないかと言われている。
ホビー用の比重計なので誤差は大きいとは思うのだが、実際比較してみないことには分からない。
そこで2つの比重計を比較すると...
片方は1.026を示し、もう一方は1.0225を指した。
この時のガラス管(ボーメ度)比重の値は1.024である。
もしこの2つのサンプルが最大限に誤差を生じていたとするとこの比重計の精度は1.024±0.002と言うことだ。
果たして海水塩分濃度を比重で測るのが正しいか否かはさておき、ホビー用比重計ではこの程度が限界と言うことか。
■ '00/6/22
ライブロックを洗ってしまった割にはスキマーの汚れが増えていない。
硝酸塩も亜硝酸濃度も上がっていないのはライブロックのダメージが少なかったのか、濾過機能が安定しているのか。
特に硝酸塩は試薬の色が全く変化しないレベルである。
低濃度硝酸塩試薬がないと測れないな。
気にあるのはヨウ素濃度で、試薬測定上限の0.1ppmに近い値を示している。
試薬の説明書には0.06ppmを維持するのが正しいとなっているが、0.05ppm〜0.5ppmの間であれば良いという話もある。
いずれにしても微量元素があと5日で無くなる(50cc/Day×40日=2000cc)ので、ヨウ素添加量を減らしてみようと思う。
ちなみにKHは8.5だった。
海外の通販業者から返事が来た。
Kent Tech I has been renamed Concentrated Iodine, while the Super Iodine
has been renamed simply Iodine
These changes take affect as of May 15. I do still have some with Tech
I labels, but it is the same stuff as what is in the new labels...
だそうである。
まあ使ってみれば分かることだが。
国内通販で買った添加剤も届いた。
国内流通ものの小容量ボトルで買ったのだが価格は輸入品と変わらなかった..他に横浜の店で綺麗なミドリイシを発見。
ポリプが蛍光グリーンで先端がピンクになっている。
小ぶりではあるがコイツが気に入って、我に返ったときには千円札2枚のお釣りを受け取っていた。
(笑)
(ブルーライト下なので色が正しく出ていない)コイツをキレイに見せるにはスーパークール115に低ケルビンの球を付けなきゃいけないだろう。
ハロゲンスポットでも良いけど光量対消費電力に不満は残る。
器具は安くて良いんだけど。
そのショップにはSeachemの試薬が置いてあった。
輸入業者が倒産して一旦は国内に流通しなくなったそうだが、今はアクアマリンプロが輸入している。
もちろん日本語の説明書付きだ。
価格もそう高くはないのでお勧めである。
なお同社のフォスガード(リン酸/珪酸吸着剤)は吸着剤としては最高の部類に入るらしい。
ショップで少し話をしていて、比重計のことになった。
やはりホビー用の比重計は精度がないらしく、そこでは天然海水の比重を基準にしてホビー用比重計を校正?しているとのこと。
なので比重の絶対値は解らないと言っていた。
実は導電率換算で比重を測る場合に、塩以外のイオン濃度が測定値に影響しているのではないかと思っているのだ。
5%のNaClだと導電率は67mSで一見(値が)大きいように見えるが、5%のHcl(こんなものを水槽に入れる人は居ないだろうが)は395mSなのだ。
ちなみに5%のKclは69m
であり温度傾斜は1.5%〜2%/℃なのだ。
海水の塩分濃度に比較すると微量元素は3桁以上濃度が低いが、誤差を生むことは確かだろう。
他の測定法としてはNa+イオンやCl-イオン濃度を測る手もある。
これらは選択イオン電極を使えば測定できるが、海水中では誤差を生みそうである。
と言うか、結局の所は比重と導電率とイオン濃度が天然海水と同じになるように調整すればいいわけで絶対値はどうでもいい。
が、その天然海水(それも新鮮で遠海のもの)の入手が容易でないところが困るのだ。
ちなみに天然海水の平均的Na+濃度は10000ppm(1%)でCl-は19000ppm(1.9%)だそうだ。
塩類で見ると塩化ナトリウムが約78%,次いで塩化マグネシウムが11%となる。
イオン電極と言えばカルシウム測定の続報である。
カルシウム濃度は複数試薬の平均値で400pp
程度を維持している。
これをカルシウムイオン電極で測定すると700ppm程度を示す。
カルシウムイオン電極は100ppmと1000ppmで校正し、400ppm濃度の塩化カルシウムを量ると400を示すから測定器にエラーはない。
この400ppmの塩化カルシウムをホビー用試薬で測っても400ppm前後を示す。
しかし海水のカルシウム濃度を測ると700ppmと出る。
おそらく妨害イオンの影響だとは思うが、正確に計るならイオンクロマトグラフィを使うしかないかな。
ちなみにこれ、可搬型で100万円程度である。
ので、趣味で買う人は居ないだろう。
工業技術センタで借りる手もあり、これだと\500/時間程度と格安だ。
興味ある人は各県の工業技術センタへ問い合わせてみて欲しい。
妨害イオンだが、現在使用している選択イオン電極の妨害イオンによる影響は次式で表される。
E=Eo+2.303RT/2F・log(ACa2++1/K・ax)
このaxが妨害イオン濃度で、Kがその限界値だ。
その値はNa+で1000以上、Mg2+で1000、その他水槽内に比較的濃度が高く存在しているものでは、Mn2+=500,Co2+=350,Sr2+=50,Fe2+=1,Fe3+=0.1
となっている。
Ca2+が400ppm程度の濃度であるのに対し、Na+は10000ppmだが妨害度が低いので許容できる。
ストロンチウムも鉄もK値は低いが水槽内濃度も低い。
(はず)誤差はどこから来るのだろうか。
H&SやDASなどのスキマーに使用されているのと同様の形状のポンプインペラが売られている。
Rio用なのだが、これを使えば既存のスキマーのパワーアップが出来そうである。
DASはポンプのインペラだけでなくハウジングの方の形状も普通のポンプとは違うのだが、余り気にすることも無いかも知れない。
サクション側からエア吸入を行っているスキマーをお使いの人は変えてみては如何だろうか。
ウチのスキマーは朝方最も泡が下がっている。
そこに冷凍ブラインなどの餌を与えると即座に泡がモコモコと上がってくる。
日中は適度に泡が上がっているのは生物の活動レベルに比例してと言うことだろうか。
■ '00/6/23
微量元素類の補充を行った。
この1ヶ月間の微粒元素濃度を参考として、TECH・I(ヨウ素)は定量の1.4倍を、TECH・Mは定量の5倍を、鉄、マンガンも定量5倍で添加することにした。
ヨウ素は徐々に高濃度化してきたので減らし、マグネシウムは濃度を3割ほど上げたいので増やしたというわけだ。
鉄は試薬がないのでテキトーに入れることにする。
ストロンチウム&モリブデンは4倍のままである。
レッドシージャパンはドジングポンプの輸入販売を始めたようだ。
定価は現地価格の2倍近いが、実売価格で見れば1.5倍程度だろうか。
流量直読型(少し高い)もあるし3連(結構高い)もラインアップされている。
工業用の微量ポンプは安価なもので6万円程度(定価)、流量直読型だと20万円ほどになるからホビー用としては高価ではあるが工業用よりは安い。
ホビー用の問題点は信頼性と寿命だろう。
工業用はヘッドのみ交換が出来る(ヘッドだけで1〜2万円)がホビー用は補修パーツが出てくるのかな?日本でもベルリンシステムが浸透しつつあり、添加剤や添加装置も様々なものが売られるようになってきた。