VICSは有効か?
96年からスターとしたVICS,果たして実際有効なのか?考えてみた。
ここでお断りしておくが、私は現時点でこのシステムを使用していない。
...ついに買ってしまいました。
その後の状況(’97 2/23)
取り付けました(’97 4/11)
使っています(’97 4/16)
分かってきました(’97 4/19)
結構騙されてます(’97 5/18)
新型での様子(’98 1/6)
システムはどうなっているのか?
コイツはかなり複雑だ。
FM放送波を利用したもの,電波ビーコンを利用したものそして赤外線通信を利用したものが組み合わされている。
FM放送波はともかくとして、電波ビーコンと赤外線は何もそれを分ける必要はなかったのではないかと思われる。
どうも、開発の足並みが揃わずに多方式共用型でお茶を濁した感が強いのだ。
FM放送波では広域情報が流される。
それ以外の通信手段は(今のところ)電波が高速道路を中心として、赤外線が一般道を中心として整備されつつある。
なお赤外線は双方向通信が可能で、当該車両の進行方向の情報を収集することが可能となっている。
サービスエリアは?
現在の所,首都圏と主要高速道路のみである。
広域情報は広域で?受信できるが、それ以外の情報は赤外線通信設備のある道路でのみ(当たり前だが)受信可能だ。
コイツは、道路上に設置されていなければならないから、もちろん裏道などはダメ。
私の行動範囲である横浜周辺は、一部道路に設置されている(96年末現在)ようだが..
情報はどうやって収集するのか?
これは、道路上に設置されたカメラによって車両のナンバを写しその車両が次のカメラを通過するまでの時間から計算している。
交差点付近では、超音波等のセンサによって車両が移動しているか?停止しているかを判断し、それらから総合的に混雑具合を予測する仕組みだ。
例えばA地点とB地点にカメラが設置されているとする。
その日はたまたまA地点とB地点の間にあるC地点で大きなイベントがあり、A地点は非常に混雑していたとする。
道路事情に詳しい車両は、C地点を避けるためにA地点を通過せず裏道を通ってB地点に到達する。
A地点を通過した車両の殆ど全てがB地点を通過しない場合、A−B間の混雑状況は測定できない。
赤外線や無線ビーコンの設置と共に、道路状態を把握するためのインフラが整備されなければVICSは有効に機能しないわけだ。
ただし通過時間などは分からないものの、交差点付近には超音波センサによってセンサ直下の車両が停止状態か否かを判別するようにはなっている。
交差点付近の渋滞情報が分かる仕組みは、この超音波センサだ。
渋滞回避が可能か?
実際使用してみないと分からないのだが、幹線道路の渋滞はVICSで確認することが出来る。
しかし、迂回路の渋滞情報が分かるのだろうか?(センサが付いているか?)幹線道路が混雑しているという事は、周辺道路も混んでいるという事。
VICSを使用したからと言って、道幅が広がるわけではないのだ。
高速道路の渋滞が分かったところで、それと平行する道路がなければ話にならないし、その道路があったとしても、正確な渋滞情報が手に入らなければ意味はない。
交差点の渋滞情報は、その交差点の通過時間が分からなければ渋滞長からでは判断できない。
どう使えば役立つか?
どう使えば良いんだろう..思いつかないなあ...インフラ整備が第一なのだが、その設備数はPHSの基地局数に匹敵するものが必要だろう。
PHSは、純民間で有料サービスだから凄い勢いで整備が進んでいるがVICSは??だいたい、VICSのモデル実験は20年近く前からやっているのだ。
これらの事業費は、事業開始時に一括して確保するそうだ。
20年の事業で、毎年5億円が必要なら100億円の予算が決定する。
従って、その事業が有用であろうと無用であろうと毎年5億円は使い切らなくてはいけない。
VICS事業がこれに当てはまるかどうか?定かではないが..
最近仕入れた情報1(2/23)
このページをご覧頂いた方々から寄せられた情報によると、都内では結構役に立つよ!とか、横浜周辺でも渋滞回避は可能だ。
との事。
結局自分でVICSを体験してみないと分からないのだが、私の使用しているソニーのNVX-S1対応ユニットの発売は遅れている。
去年聞いたときには「年末までには出る予定です」だったのが、今年になってから「3月には発売される予定ですが、機能限定です」と変化した。
そこでSONYにmailで問い合わせると、素早いレスポンスで返事が来た。
それによると、発売は3月末の予定で一部機能は動作しないそうなのだ。
(注:その後も発売は延期され、正式発表は4月10日になり入手可能)なお、何故機能限定になるのか?何が原因(ソフト/ハード)かは回答いただけなかった。
その、動作しない機能である「渋滞回避ルートガイド」がどの程度有用なものなのか?結局現在のナビを使用する限り体験できないのだ。
それ以外でも、SONYのナビは評判がよろしくない。
最近では取り扱いを中止した販売店もあるほどで、先行き不安である。
どうやらSONY製は、ソフトのバグが多いらしくトンチンカンなナビゲーションをしてくれるのだという。
NVX-S1にしても、致命的ではないにしろ見て分かる程度の不具合は発生している。
NVX-S1のうたい文句は「フラッシュROM使用で、将来の機能拡張にも対応できます」だったハズ。
確かに「見えるラジオ」には対応したのだが、目玉であるはずのVICSにフル対応出来ない様では、フラッシュROMが聞いてあきれる。
NVX-S1発売当時は、すでにVICSのサービスインが決まっていたはずだからだ。
機能限定VICSユニットに10万円近い投資をするか?ナビ毎買い換えるか?いや、値崩れを待つのが正解なのかな??−−結局4月になってバージョンアップディスクが発売され、VICSユニットも取り付けられるようになった。
取り付けられるものなら付けたいと思うのが人情。
他のナビに乗り換えるよりは安くつくし..このあたりのお話はこちらでどうぞ*機能限定についてどうやら、機能限定の主たる原因?は、内蔵フラッシュROMの容量のようだ。
VICS処理まで含めても十分な容量だと思われるROMを搭載していたのだろうが、実際ソフトを組んでみたら予想以上に大きくなってしまったという訳か?継ぎ足し方式でソフトを組んでいると良くあることとは言え、ダメなら一部をアセンブラで書き換える位のパワーが欲しいね。
(なんて言って、全部アセンブラ記述だったら凄いけど..実際に以前ソニーのナビ用ソフトをCで組んでいた人間に聞くと、まるで蜘蛛の巣のような構造だったとか..)
実際に取り付けてみた(4/11)
取り付けた経緯と中身の様子はこちらをごらん頂くとして、取り付けて近所をうろついた感想だ。
まず、家からもっとも近い国道一号線(旧道)には、数Kmごとにビーコンが取り付けられている。
ビーコンの情報を受信するとナビは「ピッ」と鳴くのだが、それがリアルタイムではないのだ。
ビーコンを通過して数十秒はかかるだろうか?情報が更新されると鳴くようだ。
もちろんビーコンの下を通らなくても、FM放送波による広域情報は受信している。
しかしFMによる情報とビーコンによる情報に差異があるようで、ビーコンの下を通過すると情報表示が変わる。
問題の渋滞情報だが主要幹線道路(主に国道級)は、そこそこの精度で表示されている。
渋滞長が300m程の所だと、200m〜500m程度の渋滞と言った感じ。
ただし100m走行するのに1時間かかる渋滞も、10分かかる渋滞も表示に差がなく赤線の点滅で示されている。
(軽度の渋滞..混雑って言うのかな?..は黄色で表示されるが)まあ何も表示されないよりは良いかな?特に知らない道だと。
しかし!落とし穴もある。
渋滞表示されていない道路の状況が、渋滞していないから渋滞表示されていないのか?センサが無くてセンシングできないから渋滞表示できないのか?これが分からない。
このあたり(横浜駅から10Km程)だと、主要地方道にもビーコンは(まれに)設置されている。
しかし渋滞検出センサの方の設置が遅れているようで、渋滞表示されない。
問題の地方道も、それと接続する国道一号線も同じ片側一車線だし、場所によって片側二車線に広がるのも同じ。
国道一号が混んでいるからと言って、渋滞表示のない地方道に迂回しても結局は同じ事になるのだ。
是非地図上に、渋滞表示と非渋滞表示を行うようにして欲しいものだが、NVX-S1のバージョンアップではこれも不可能なようだ。
新規購入時には、このあたりも要チェック点。
なお、聞いた話によると松下製も非渋滞表示はないらしい。
これはVICSサービス対象外の情報なのかな?
現時点でのもう一つの疑問点は、広域情報であるFM放送波の選択の問題だ。
自位置は分かっているのだから、自動選局してくれるのか?いちいち手動で切り替えるのか?実はFM文字放送受信機は手動で選局しなくてはいけなかった。
東京/横浜近辺なら、どの放送局で文字放送を実施しているか?覚えていられるが、高速などに乗っての移動中だとそれも分からなくなる。
説明書に明確な記述はないのだが、どうやら自動切り替えは出来ないらしい。
その後の状況上に書いた不満点をソニーに問い合わせてみた。
FM放送局の選択については「自動選択」を選ぶベシ..との回答を頂いた。
しかし、これは周波数をスキャンしてスレッショルドレベル以上の局を受信する機能にすぎない。
ここ(横浜)で、上記操作をするとまず捕まえたのは千葉NHKだった..なお松下製品は、自位置に合わせた自動検索機能が付いているようだ。
そして非渋滞表示に関してだが、ソニーは「そのようなサービスは行われていない」と回答があった。
システム上不可能らしい。
使っていてもう一つ気になる点は、レスポンスの遅さである。
ビーコン設置点を通過してから、ビーコン検出の「ポンッ」が鳴るまでに約15秒,その情報が地図上に反映されるまでに30秒〜1分かかる。
(情報量によって違うようだ)時速60Km/hで走行すると、60秒で1Km進むことになる。
都市部の交差点などでは、つぎのビーコンを見つける距離だ。
地図のスケールを変えてもまた待たされる。
(見たい情報がすぐ見られないのは非常に苦痛だ)おまけにVICS情報処理中は自車位置マーカが動かないなどの影響が出るので、ビーコンが沢山設置されている場所ではナビとしての機能も相当失われる。
この遅さのために渋滞情報が反映されたときには、迂回ルートへの交差点を過ぎてしまった..なんて事も起きる。
また、速度を上げると地図の渋滞情報更新が間に合わなくなって、情報が消えてしまう。
(スケールを変えるか速度を落とせば表示される)この点ソニーでは「CPUのプログラム容量並びに処理速度の関係で仕方ないこと」と言っている。
パソコンと同じで1年前のモデルなんぞは使うべきではないと言うことか?ソフト変更で、VICSが接続できただけで良しとしなければならない雰囲気だ。
まとも?にVICSを使いたければ、本体買い換え以外に無いと言うことだろうか?ちなみにソニー製品ならVICSユニットは使える...の..だが..
メリットも不満点も..上のレポートにも書いたように、ちゃんと?VICSを使うならば最新モデルを入手した方が良さそうだ。
(使うほどに感じる)とにかくCPUパワーを食う処理が増えて、旧モデル(1年以上前のモデル)では歯が立たない。
現時点のモデルが最良かと聞かれると「そうですよ」と言えるほどではないけど。
VICSサービスが全国主要都市に普及する、来年あたりにはもっとマトモなモデルが登場することを期待したいね。
さて広域情報とビーコン情報の違いなのだが、広域情報に含まれないビーコン独自の物と言えば、駐車場情報と主要地方道の渋滞状態表示だ。
ただし主要地方道はセンシングされているルート自体が(横浜周辺では、現時点で)少ないから、国道級の道を走っている分には恩恵は少ない。
もう一つ、ビーコン情報と広域情報の両方を受信している場合、通常はビーコン優先なのだがビーコン設置間隔の問題もあってビーコン情報が広域情報で消されてしまうケースがあるという事。
これはもしかするとソニーのバグかも知れない。
少なくとも広域情報でサービスされない情報は、設定した(30分/60分)情報寿命時間が経過するまでは残っていて欲しい。
そこで、ビーコンの下を通過したら広域情報の受信を止めてしまう(手動でね)これでしばらくの間はビーコン情報が反映された状態になると言うわけだ。
VICS使用感に対して頂いたmailでも「なるべくビーコンのある道路を通過するように心がけています。
でもこれじゃあ本末転倒だな」って意見がある。
これがVICSの渋滞表示が出来るもっとも広域表示状態。
(広域情報受信中)これ以上分解能を下げると渋滞表示は出来ない。
写真で見にくいが、渋滞の所は道路の脇(どちら側かで上り/下り渋滞の区別)に赤い線が点滅しているのが渋滞、黄色い線の点滅が混雑だ。
これが適度?に拡大した図。
渋滞表示には、渋滞方向を示す矢印が付いている。
キャプチャボードが有ればもっと鮮明な画像で説明できるのだが...残念。
赤い線で表示されているのが国道、これは広域情報でもサービスされている。
青い線は首都高速,緑の線は主要地方道であり、国道に接する部分程度は広域情報でもサービスされるが、そこから離れるとビーコンが頼り(頼りにするほどの情報でもないか?)ちなみに、ここでビーコンを受信しても渋滞表示はさほど変わらない。
平日夕方あたりだとセンシングされている道路が分かるくらい?表示が増える。
信頼性が問題だ。
渋滞表示の信頼性の問題も分かってきた。
こちらでも書いているが、渋滞表示がまばらにしか出ていない道路でもギッシリ渋滞しているケースがある。
通勤路でも度々経験している。
そこは国道1号線なのだが、大体いつでも渋滞している。
たまに何かの拍子で?渋滞に遭わないこともあるのでVICSで確認する。
渋滞していなければ通過するのに1〜2分程度、渋滞していると10分はかかってしまう(1Km程の距離)その日もVICSビーコン下を通過して、情報が地図に反映されるのを待つと渋滞表示が出ていない。
内心ラッキーッと思いながら走行し、またビーコンの下を通過。
地図上には渋滞が出ない。
安心して走り続けると、前の方が混んでいる。
あれ??信号待ちかな??でも、信号が変わっても一向に動かない..何と!そこから1Kmに渡って渋滞していたのだ。
一度渋滞にハマってしまうと、他のルートに入るわけにも行かなくなってしまう。
どうもVICSの信頼性が??なのだ。
新型(W-900)での様子NVX-S1からW-900に買い換えた。
VICSビーコン下を通過してから、信号受信を示す音が鳴るまではほんの一瞬。
かなりスピードアップしている。
詳細画面上でも渋滞表示は行われる(S1では車速によって地図スケールを上げていかないと渋滞表示は消える)ので、使い勝手は向上した。
S1に無かった機能と言えば「渋滞回避ルート」だ。
例えば走行中の道路前方に渋滞があるとする。
VICSビーコンからは渋滞回避ルート情報が流れてくるので、それに沿ってルートを自動的に変更して地図上に表示するもの。
もちろん回避ルートがない(他に主要道路がないか,或いはどこも混んでいる場合)は回避ルートは表示されない。
甚だローカルな地名が登場して申し訳ないが、下の地図で説明することにしよう。
ちなみに同じエリアをS1の画面で見た写真が↑にある。
(スケールは違う)
走行ルートは横浜駅方向から、国道1号線を下っている場合だ。
時間帯は夕方6時半,渋滞があちこちで見られる時間だ。
元々のルートは→で示した道路を通ろうとしている。
「浜松町」交差点の約300m手前にビーコンが設置されている。
その情報によって保土ヶ谷駅前(○で囲った部分)が混雑していることが分かる。
するとナビは渋滞回避ルート検索を行い、→で示したルートへ誘導しようとする。
渋滞回避ルートの水色の線は「横浜新道」と言う有料道路,ここには渋滞表示が無いが、実は新保土ヶ谷インター付近は渋滞している。
更に新保土ヶ谷インターから国道1号線(赤の線)に戻る部分も凄く混んでいる。
結局渋滞回避ルートを取らない方が時間的には早い(と、思う)が、一応誘導してくれる訳だ。
もう一つ注意しなければならないのは、ビーコン設置場所から交差点までの距離が近いという点。
いくら混んでいる(渋滞表示が出ない程度に混んでいる)とはいえ、渋滞回避ルートが表示される頃には迂回路の交差点直前にさしかかっている。
もし左車線を走っていたなら、他社の迷惑を考えずに中央車線を横切り右折レーン(これも混んでいる)に割り込まなくてはならない。
余程ムチャクチャなうんてんをする人は別として、普通の人は進路変更が困難な距離だ。
もっとも、さらに横浜よりのビーコンで誘導されるのかも知れないが、私の走行ルートは「浜松町」交差点の600m前方(横浜寄り)で国道1合に合流したのだ。
渋滞回避ルートは回避ルートの状況により、もちろん変化する。
横浜新道を通らずに、地図上の黄色い線(岩間町,月見台経由)等という、マイナーな路線の案内もしてくれる。
この道路、一応バスは通っているがバスがすれ違うのにも苦労するほどの道幅だ。
さらに国道に合流する付近では、地図上で色の付いていない道路!を通るルートになった。
たぶんVICSによって誘導されるのは途中までで、そこから先はナビが自動ルート設定するのだと思う。