ワットチェッカの精度
F&Fでは過去に待機電力の計測をした事がある。
当時は未だ高額だった電力計を貸して頂いた事があり、これで様々な電力を計測した。
今回は過去にお借りしてものほど小さな電力が測れる訳ではないのだが、そこそこの精度があるのではないかと思われるワットチェッカを試してみる。
事の始まりと言っては大げさなのだが、テーブルタップ型の電力計が安価に販売されていて興味をそそられた。
交流の電力計測は実効値を計算しなければならないのだが、そこそこの速度のA/DとCPUがあれば細かく分割したものをどんどん積分すればいい。
しかし実際にはA/Dコンバータの速度や精度は価格であり、安価なものは誤差が増えてしまう。
この記事をblogに載せたところコメントを頂いた。
その中でわかりやすく解説されているページも教えて頂いたので紹介しよう。
このページの中で基準器として使われているものが、今回私の入手した者と同じだ。
価格は安価なところで3千円台、高額なところだと1万円を超える。
当然私は安価な方で、しかし4千円を払って買った訳だがOEM品も多いので価格はバラバラという感じ。
比較用に使用するのは横河電機のMODEL2041、アナログ電力計である。
この電力計は0.5級(誤差0.5%)品で、10℃の温度変化で計測値が0.2%以下のズレを生じるなど規格がある。
力率の影響は、力率1→0.5に変化させた時の指示誤差が0.5%以下となっている。
http://www.yokogawa.com/jp-mcc/gmi/pdf/catalog/meter/BU2000_014_2041_ja.pdf
まずは基本、抵抗体で力率が1になる白熱電球を接続してみる。
公称60W品だ。
予想通りというか当たり前というか、どちらも同じ値を示している。
ワットチェッカは電源周波数や電圧、電流も計測出来るが今回は割愛。
力率の悪そうなものは何か無いだろうか…
スイッチング電源なども最近のものは力率補正がされているものも多くなってきた。
本来ならば電流波形を観測してみたい所ではあるが、手元に電流プローブがなかったので割愛。
力率の低そうな代表格である古いIBMのノートPC(の、ACアダプタ)を接続してみた。
双方共に26Wを示しており、誤差は感じられない。
もう少し消費電力の大きなものはないかな…
そうだ、測定器を接続してみよう。
で、電源を入れたら120Wのメータを振り切った。
ワットチェッカは電圧測定モードになっている。
2041のレンジを変更する。
5倍測定モードなので、指示値を5倍にしてみればいい。
指示値は27.5あたりなので、これの5倍は137.5となる。
良い線ではないか。
IBMのノートPCの他のモデルを接続してみた。
奇しくも旧型モデルと殆ど消費電力が変わらない。
もっと力率の悪いものはないのか???
と言う事で、速度可変型の電気ドリルを持ち出した。
サイリスタかトライアックか、そんなもので制御されているのではないかと思う。
フルパワーにすると力率が良くなりそうなので、適当な回転数にして計測。
ここでも目立った誤差は見られない。
DELLのDimension8300をつないでみる。
モニタ込みの消費電力なのだが、計測値がふらふらして旨く測れない。
それこそフリーズ状態にでもしておかないと駄目か。
アナログメータの反応が遅いですよという写真にしかならない訳で、ここでも誤差は見られなかった。
携帯電話の充電器で携帯電話を充電中の電力。
メータの読みは1.5W程度なのだが…
ワットチェッカは反応しなかった。
これは少し古めの電源内蔵型のHUB、2041は4W程度を示していて、ワットチェッカは表示値が3になったり4になったり。
おそらくこのあたりが測定の下限ではないかと思うのだが、仕様によれば0Wから計測可能で最大誤差は2%となっている。