年金(10/22)
◆ 以前にも取り上げた事のある、国民年金運用問題である。
年金福祉事業団(現・年金資金運用基金)はグリーンピアと言う保養施設を全国13箇所に建設した。
1箇所あたりの建設費用は100億円〜数百億円と言われていて、この施設の運用益で年金を増やそうと考えた。いや、表向きはそうだった。
結局の所年金という巨額な資金にたかった官僚や政治家が、これを食いつぶすために仕掛けたものなのだが、官僚や政治家に施設の管理や運用が出来るはずもなく、ただただ赤字が増えるばかりだった。
◆ こんな事はおそらく当初から分かっていた事だろう。
何しろ運用に失敗したとしても誰も責任を取る事もなく、誰も責められない。
むしろ膨大な金を使って先細りにした方が喜ばれるというのが国の行う事業なのだから。
例えばグリーンピア指宿は200億円以上の金を使って建設され、8億円もの累積赤字を計上し、更に毎年6.5千万円の固定資産税を支払い、2005年には施設を売却して足を洗うと言うか、これまでの金を捨てるという結論を出したのだ。
もちろん多少の黒字を計上した施設もあるらしいが、トータルとしては約2千億円を捨てた事になる。
◆ こんな事で驚いてはいけない。
2001年度までの公的年金の運用損は1兆7千億円にも達するという。
これは主に株式運用の失敗と言われているが、そもそも年金運用にリスクの大きな株式投資を行うのかという根本的問題があるのではないのか。
年金額が不足すれば年金税(あえて)を上げればいい話であり、年金支給開始年齢を遅くすれば済むと、官僚は考えているに違いない。
そして支給開始年齢を平均寿命に近づければ、必ず年金システムは黒字になる。
大赤字を出したとしても、誰も責任を取る事はなく国民が全て穴埋めしてくれる。
こういった環境なのだから株式運用にだって力が入るはずはなく、政治献金額に応じた株式取得でも行っていたのだろう。
◆ 国民年金の未払いが多い事が問題になっているが、我々が支払った金をどんどん消費する一方のシステムに信頼感など全くない。
その結果、3人に1人は国民年金に加入していないのが実情だという。
これに対して強制徴収などの案も出ているが、強制徴収されるのは一般国民のみで、強制徴収しにくい医師や弁護士、政治家などは除外されるという。
医師から強制徴収をするとなると医師会が黙ってはおらず、法律の専門家である弁護士とも喧嘩はしたくない。
国会議員から強制徴収しようものなら、強制徴収のシステム自体を抹殺される。
結局、取りやすい所からだけ取るという税の理論がここにも活きてくる訳だ。
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