Nicon COOLPIX950 を試す


コダックのDC-20,ニコンのCOOLPIX600と2台のデジカメを使ってきたが、COOLPIX購入からほぼ一年が経過して、デジカメの画素数も200万時台に突入した。
100万画素時代には魅力を感じる製品が少なかったが、200万画素級になるとレンズ設計にも力が入り、フォーカシングや露出などの設定も自由度が増した。
そこで目を付けたのがCOOLPIX950なのだ。
DC20もCOOLPIX600も露出補正程度は可能だったがそれ以外の調整は出来ない、いわゆるコンパクトカメラレベルの機能である。
これに対してCOOLPIX950はプログラムAEの他にシャッタ優先や絞り優先(ただし3レベル)設定が可能だし、マニュアルフォーカスモードもある。
何より嬉しいのはマクロモードで、レンズ前2cmまで寄れるのだ。
またCOOLPIX600に比較するとモニタ用の液晶が抜群にキレイだ。
COOLPIX600では液晶の絵を見てフォーカスを確認するのが不可能なほどだったが、COOLPIX950ではある程度可能だ。
他にも電源オンからの立ち上がり時間が短いとか、画像圧縮&セーブ時間が短い(明るい場所での撮影なら1秒以下)等、進化の跡が見られる。
機能と引き替えになったのは重さと大きさだ。
中口径3倍ズームレンズと単三電池4本を飲み込むボディーはそれなりに大きい。
なお、ここからの画像は全て補正無しで撮っている。


(撮影COOLPIX600)カタログ重量は350グラムだが、メモリとストラップを付けると280グラムになる。

(撮影COOLPIX600)カメラらしくない外観である。
写真左側のボディー裏に液晶モニタがあり、この部分がグリップに近いので使いにくい。
なお光学ファインダもズーム式になっているし、液晶モニタを消せばアイドル電流は数十ミリアンペアまで減るのでこれがお勧めだ。

(撮影COOLPIX600)タバコの箱よりは若干高さが低い

(撮影COOLPIX600)厚みはタバコの箱より大きい。

(撮影COOLPIX950)原寸はこちら
COOLPIX600はストロボと電池(単三2本)を含めても290グラムだ。
しかしサイズの割に重いので持った感じはかなりズシッと来る。

(撮影COOLPIX950)原寸はこちら
大きさもこんなに違う。

(撮影COOLPIX950)原寸はこちら
レンズ部の厚みが以外に気になる..

画像比較は暗い場所を選んで行うことにした。
明るい場所では絞りも絞られるのでレンズの開放性能が評価しにくいからだ。
まずは水槽を撮影してみた。

(撮影COOLPIX950)原寸はこちら

(撮影COOLPIX600)

(撮影DC-20)COOLPIX600はハイライトが飛んでいるが、これはこのような特性(ハイコントラスト)なのだ。
蛍光灯(水槽用の5波長光演色管)下での撮影なので、オートホワイトバランスの違いが良く表れている。
次に曇り空の夕方の屋外を撮ってみた。

(撮影COOLPIX950)原寸はこちら

(撮影COOLPIX600)原寸はこちら
COOLPIX600は空が飛んでしまっている。

(撮影DC-20)次にもっと暗い、雲の間から顔をのぞかせる月を撮ってみた。


これがノーマル感度(ISO80相当)である。
ただし2.5倍のディジタルズームを設定しているので細部は荒れている。

増感設定(ISO320相当)で撮ったものがこれだ。
よく見ると月に照らされた雲にノイズが見える。
(注:画像を縮小しているためディジタルズームによるノイズは目立たなくなっている)

日中の十分明るい、しかもバックが白いところで撮影してみた。
もちろん設定はフルオートのままだ。

COOLPIX600原寸はこちら

COLLPIX950原寸はこちら

DC-20 色合いに違いはあるが、暗いところや蛍光灯下での撮影ほど違いが見られない。
こういうシーンだとDC-20もかなり健闘している。


次は問題のマクロ撮影である。
これが不十分だと買った意味がない。
細かい機器の内部や実験データの記録にマクロモードは不可欠だ。

(撮影COOLPIX950)原寸はこちら

(撮影COOLPIX950)原寸はこちら
さすがに深度は浅くなる(フォーカスはQFPのピンの付け根に合っている)が、デバイス表面の質感もそれなりに表現できていると思うが如何だろうか?
1600x1200の一部を切り出して輪郭強調とコントラストを強調したもの。

(撮影COOLPIX950)原寸はこちら
水槽内で光合成を行い酸素の泡を付けるパールグラス。
開放絞りで深度を浅くしてみた。


COOLPIX600の絵はハイコントラストと輪郭強調で、画面で見るには美しいと思う。
DC20はサスガに時代を感じさせるが、日中の十分な光量下では自然な写りになる。
COOLPIX950 は若干地味な感じはするが、コントラストが強調されていない(カーブを寝かせてダイナミックレンジを稼いでいる)のでカメラ本体の設定や画像処理ソフトで調整が可能だ。
なおCOOLPIX950はノーマルモード(皆さんが見る場合を考えて。
でも400KB以上ある)で撮っているので、より圧縮ノイズの少ない絵が欲しければ低圧縮モード(2段ある)や無圧縮モード(8MBのメモリに1枚しか記録できない)を使えばいい。
いずれにしても豊富な設定が行えるというのは有り難いことだ。
今まではデジカメの画像を何とか画像処理ソフトの方で調整していたわけだが、シャッタ速度や絞りを任意に決めて撮影できるだけでも進歩だ。
電池消費量だが、さすがに単三が4本入るだけあってCOOLPIX600よりは長時間使える。
液晶を点灯した場合のアイドル電流は約650mAで、液晶を消すと10mA程になる。
コンティニュアスAFだと常にフォーカシングしているわけだが、これを液晶点灯時に行うと1.2A程の電流がピークで流れる。
(いずれも電池電圧5.5V時,電圧が上がると電流は減る)繰り返しになるが、液晶はフォーカスが分かるほど解像度が高い。
これはCOOLPIX600の液晶がプアだったために感じることかも知れないが。
なお液晶板は画像モニタ用と設定モニタ用の二つが付いている。


テスト時の設定データホワイトバランス:自動(太陽光/プリセット/電球/蛍光灯/スピードライト)測光方式    :マルチ(中央重点/スポット)階調補正    :標準(コントラスト+/コントラスト−/輝度+/輝度−)モード     :プログラムオート(シャッタ優先/絞り優先/固定)感度      :ISO80(ISO100/ISO160/ISO320)圧縮      :1/8圧縮(非圧縮/1/4圧縮/1/16圧縮)記録サイズ   :1600×1200(1024×768/640×480)連写      :単写(連写/マルチ連写/高速連写)露出補正    :なし(+2EV〜-2EV)フォーカスモード:コンティニュアス(マニュアル/スポット)

絞りと深度を見るために絞り優先モードで撮影してみた。
本来なら花壇をバックにモデルのアップ..って所だろうが、今回はマクロモードでの撮影だ。
まずは開放絞りでの絵

原寸はこちら
バックの方眼紙と文字盤の遠方側のボケを見ていただきたい。
そしてF10.5まで絞った場合はこうなる。

原寸はこちら
原寸写真で比較して貰った方が良いと思うが、絞りによるレンズ性能変化がこれまで使ったどのデジカメより軽微である。
だからといってこれが完璧だとは言えないが、少なくともレンズ性能に気を使った製品といえるだろう。
次にマクロモードでのストロボ性能を見てみた。
通常の距離での撮影であれば内臓ストロボはそれなりの動作をする。
しかしマクロモードでストロボを使った場合は露出オーバになるカメラが多い。
(COOLPIX600ではマクロモードでのストロボ発光自体が禁止される)まずはストロボを使わずに、白熱電球と蛍光灯のコンビネーションライトで照らしてみた。

原寸はこちら
ストロボを使うとこうなる。

原寸はこちら
基板の色合いが変わっているのが気になるが、肉眼で見た感じとしてはストロボを使用しない時の方が近いと思う。
ちなみにストロボ非点灯時のホワイトバランスは「自動」を選択してある。
(下に敷いた方眼紙が反っている)

200万画素クラスになったデジカメは、単に100万画素の2倍に解像度が上がっただけ,では無いように感じる。
発売時期を同じくするオリンパスのC-2000ZOOMもE950と同等かそれ以上の細かな設定が可能だ。
特に違いが見られるのはレンズで、ニコンが「解像度と安定性重視」と言っているのに対してオリンパスは「明るさ重視」なのだ。
レンズの開放F値で(ほぼ)オリンパスはニコンの2倍の明るさがある。
実際の感度自体はニコンのISO80に対してオリンパスはISO100なのだが、これはCCDアンプのノイズレベルを(オリンパスが)気にしているからだろうか。
CCDの解像度が上がれば感度は悪くなる方向(CCDを大きくしない限りは画素あたりの面積が減るから)なので、今後は大口径レンズ搭載モデルが増えてくるかも知れない。
ただし大口径レンズはコストに直接響く。