妨害機(11/18)
◆ 昔からあるものだが、いわゆるレーダ式速度取り締まり装置妨害機。こちら側から電波を発射して速度取り締まり機の正常動作を妨げようと言うヤツ。
最近は通販でも買えるので興味ある向きは検索エンジンでサーチしてみると良い。
ただし能書きは妨害機ではなく、レーダ探知機テスト用の発振器となっている。メーカ曰く微弱電波なので電波法には触れないのだそうだ。もしそれが本当ならK察レーダを妨害するほどの威力は無いかも知れない。
ちなみにスピードガン(ボールの速度などを測るもの)は免許か或いは認定シールが必要だ。
◆ では十分なパワーがあると仮定しよう。つまり電波法違反の違法無線局だ。いやいや、正確には微弱電波と言えども他人の通信を故意に妨害すれば法に触れて、この解釈から携帯電話妨害機が問題になったという話は又の機会にするとして、妨害機の中身はGaAsの発振器だろう。これにホーンアンテナが付いていて出力は5mW程度出るかな。
K察レーダは10.525GHzを使っているが、周波数変位は±20MHz程度ある。絶対周波数で言うとこれは大きな値だが、10GHzの自励発振器だからこの程度の誤差は仕方ない。
妨害機の方はこの発振周波数にピタリ合った周波数で妨害波を出さないといけない。何しろドップラレーダだと受信周波数帯域は2KHzもあれば十分なのだ。
◆ でも安物の自励発振器が誤差数ppmの電波を出せるわけがない。そこで矩形波などで変調して帯域を拡散しちゃう。こうすれば10.525GHz±100MHz位の広い範囲で妨害波が出せる。
妨害波帯域は広がったが、帯域拡散したとすると単位帯域辺りのエネルギは減少する。しかも相手の受信帯域はすごく狭いと来ているし相手のパワーは20mWとか50mWも出ている。確かに反射して戻って来る電力は微少だろうが、これで本当に妨害できるのだろうか。
いやいや、売られているものは妨害機ではなくレーダ探知機試験器だから例え妨害できなくても不良品ではない。
◆ では正しい妨害機の作りかた。
まずは相手のキャリアを受信する。受信はスイープ式の受信機か何かで良いだろう。これと自車速度から発振周波数を演算して、さらに自車速度からどの周波数を発信すれば良いかを計算後PLLで10GHz発振器をロックする。PLLの原発は少なくとも±0.1ppm程度の短期安定度があることが望ましい。発振器の後にはGaAs FETで1W程度までパワーを上げよう。こんなものは別に作らなくても、買ってくれば済むことである。受信機もスペアナにLNAを付けて、それに連動したPLL方式のSGを付ければ配線と多少のプログラムだけで済む。
これで普通のドップラレーダは妨害或いは破壊できる。普通じゃないものは妨害できないかも知れないし、パワーが十分なら妨害できるかも知れない。だからPAは余裕を持って10W出力にしよう。
これに20dBゲインのパラボラかホーンアンテナを付ければ1KW分のパワーを照射できる。そうだ、アンテナの指向性を補正するために受信用アンテナを2カ所に付けて位置判定もやろう。
こうして1千万円以上かけた妨害機が出来上がり、何度か使ってみたら捕まっちゃって実刑を食らうというオチが付く。
|