電源ノイズ(3/20)
◆ Pentium-IIマザーの電源ノイズを観測してみた。電源に入れられた合計1万μFのケミコンのおかげか、リップルはさほど多くはない。むしろ目立つのはスイッチング電源のスイッチングノイズだ。
この絵は4GS/Sのディジタルオシロの帯域を20MHzに制限して、スイッチングパルスノイズを軽減し、電圧
変動を観測したものだ。Pentium-II/266MHzを動作させた状態でのリップルは31mVしかない。
色が変わって見えるのはオシロのDPOモードを使用したためだ。
◆ ディジタルオシロのようなサンプリングタイプではノイズのように位相も振幅も周波数成分もランダムな
波形は観測しにくい。そこで高速サンプリングを利用して1画面を表示する中のサンプリングポイントを
増やし、その部分の電圧の出現回数を色分けして表示したのがこれなのだ。
赤っぽい部分は出現回数の多いところであり、青い部分は最も少ないところだ。
電源部の電解コンデンサを増やしたり減らしたりしたときの波形はVmagの4/15日発売号に掲載される予定。
ちなみに現在発売中の号にも私の担当記事があるので、見かけたら立ち読みでもしてね。
◆ F&FのBBSでも若干話題になった某サイトの電源部のノイズ波形だが、同サイトによると時間軸が1pS
/Div.になっていた。これをテクトロニクスに確認すると「そんなオシロは世の中に存在しない」(広報)
との事だった。
アナログオシロの場合にはブラウン管への書き込み速度が問題になり、500MHz以上のものは作れないだろ
うと言う。帯域が500MHzとしても掃引速度は1GHz以上が必要だからだ。
これに対してディジタルストレージオシロはラスタスキャンのブラウン管が使えるので、高速化はアナロ
グオシロより容易だという。テクトロニクスのラインナップでは8GS/Sの物まである。
◆ ちなみに1pS/Divを実現して、前出サイトのような波形を見るためには少なくとも4TS/S以上のサンプリン
グクロックが必要となり、現時点での最高モデルの500倍の速度のA/Dコンバータやメモリが必要となる。
ノイズ解析の場合には繰り返し波形ではないので、いわゆるサンプリングオシロの類は利用できない。
実は私が液体窒素冷却実験を行ったのも同サイトで「液体窒素冷却でPentium-IIが1.6GHz動作した」記事
の実証を行うためだった。1.6GHz動作が可能かはこちらを見て判断いただきたい。
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